腸内フローラでうつ病改善?最新の腸内細菌治療

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2015年2月22日(日)放送のNHKスペシャル「腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~」では、腸内フローラとうつ病の関係などについて解説されていました。

腸内フローラが性格に関係している?

不安や恐怖。幸せや喜び。このような感情は人間の脳で生まれている。しかし脳で生まれる環境が腸内細菌によって操られている可能性がある。

それを明らかにしたのはマウスの性格に関する研究。衝撃的な実験を行ったのはマクマスター大学医師のプレミシル・ベルチック博士。

臆病なマウスと好奇心が旺盛で活発なマウス。性格が全く異なるマウスを高さ5cmの台の上に乗せ、降りるまでの時間で警戒心を測る。

活発マウスは17秒で台から降りたが、臆病マウスは5分経過しても降りなかった。

活発マウスと臆病マウス

二種類のマウスの性格の違いは元々持っている遺伝子の違いによるものだと考えられていた。しかし、ベルチック博士は腸内フローラにも違いがあることを発見。これが性格と関係していると考えた。

そこで活発マウスの腸内フローラを臆病マウスに移植。反対に臆病マウスの腸内フローラを活発マウスに移植した。

3週間後、再び実験を行うと臆病マウスは警戒心が下がり台から早く降りるようになった。反対に活発マウスは警戒心が強まり台にいる時間が大きく伸びた。

マウスの実験での性格の変化のグラフ

マウスの実験での性格の変化のグラフ

コミュニケーション能力にも関係している

何度繰り返しても結果は同じ。腸内フローラを交換することでマウスの性格まで変わってしまった。

さらにコミニュケーションの能力にも腸内フローラが関係している可能性が浮かび上がってきた。マウスは人には聞こえない超音波で呼びかけを行っている。

しかし中には呼びかけの回数が少なくコミュニケーション能力が低いマウスがいる。

普通のマウスでは呼びかけの回数は3分間におよそ450回。一方コミュニケーション能力の低いマウスでは普通の1/3。

カリフォルニア工科大学の神経生物学者・イレイン・シャオ博士はコミュニケーション能力の低い生物の血液中である物質が低いことを突き止めた。

それが腸内細菌が作る「4EPS」という物質。これが脳に悪影響を与えるていると考え、4EPAを取り除く薬を与えた。

するとマウスの呼びかけの回数が大幅に増加。コミュニケーション能力が改善した。

マウスの実験での性格の変化のグラフ

イレイン・シャオ博士は「予想もしていない結果だったのでとても驚きました。脳と腸内細菌の関係を探る研究は今最も熱い分野なんです。」と話していた。

腸内細菌は人の脳にも影響を与えるのか?

私達の脳は1000置く個もの神経細胞が作るネットワークで出来ていて電気信号をやりとりしている。

神経のネットワークは脳の外にも繋がり全身に広がっている。ネットワークが集中する場所が脳の他にもう一つある。それが腸。

腸を覆う神経細胞の数はおよそ1億個。人体で脳に次いで二番目に多く、腸管神経系と呼ばれている。腸内細菌が作る物質の中には神経細胞を刺激するものが数多くあることがわかっている。

こうした刺激によって電気信号が生まれる。それが脳に伝わり感情などに影響すると考えられている。

腸内細菌を利用したうつ病治療

すでに腸内細菌をうつ病の治療に使う研究が始まっている。

マウスを使った腸内フローラの研究で世界中を驚かせたマクマスター大学のプレミシル・ベルチック医師は去年から臨床試験を始めた

脳に影響を与える可能性がある菌を患者に飲んでもらい、不安や恐怖を司る脳の領域がどう変化するか調べている。

腸内フローラを変えることでうつの症状は改善するのか、今データの解析を進めている。

博士は「うつ病の患者の中には腸内フローラを変えるだけで心の不調が治る人もいるはずです。今後、心の病の治療にはきっと腸内フローラが使われることになるでしょう。」と話していた。

腸内細菌は人間が選んできた

地球上に存在する菌は大きな70グループに分類されるが、人間の腸内にいるのは主に4グループ(バクテロイデーテス・ファーミキューテス・アクチノバクテリア・プロテオバクテリア)だけ。

人体にある細菌のグループ

人間は長い進化の中でこれらの細菌が良いものだと選んできた。

IgA抗体抗体が人間に必要な細菌を選ぶ

もともとお母さんのお腹の中にいる退治は全く菌がいない状態に保たれている。細菌と初めて出会うのは誕生の瞬間。

その後、口や鼻から入った菌が腸へと辿り着く少しずつ住み着いていく。しかし腸へとたどり着いた菌がすべて住み着けるわけではない。必要な細菌だけを住み着かせる仕組みが人間の中にあることが最近の研究でわかってきた。

人と腸内細菌が共に生きる仕組みを研究している理化学研究所の免疫学者シドニア・ファガラサン医師。人間の腸の中で分泌される物質に特別な役割があることを発見した。それが「IgA抗体」。

IgA抗体の画像

緑色に光るのが「IgA抗体」。青く見える腸内細菌の周りにびっしりと張り付いている。

そもそも抗体は身体の中に入ってきた細菌を攻撃するためのもの。表面に取り付き菌を殺す働きがある。しかし不思議なことにIgA抗体が張り付いても菌は死なない。驚くべき役割がそこにはあった。

シドニア・ファガラサン医師は「まったく逆なんです。IgA抗体は攻撃するためではなく、腸内細菌を助けるために働いている。IgA抗体は私達人間に必要な菌だけを選んで、腸に住み着かせている。」と話す。

実は細菌たちにとって腸に住み着くことは簡単ではない。腸の中には常に流れがあるため。唯一流されないのは腸の壁を覆っている「粘液層」。

厚さ0.1ミリ。細菌にとって格好の住処。しかしここは粘り気が強く、普通は細菌がなかに入ることはできない。ファガラサン博士はIgA抗体に選ばれた細菌だけが粘液層に入れることを発見した。

粘液層に暮らしている数多くの細菌。IgA抗体はどのようにしてここへ導くのか?

腸の壁から大量のIgA抗体が湧き上がり、免疫層の表面に達すると、表面近くにいた細菌の身体に張り付き粘液層の中へと引き込んでいく。IgA抗体が張り付くことで抵抗が減り、中へ入り込むことができる。

顕微鏡で見た腸の粘液層の断面を見てみると、数多くの細菌が粘液層の中へ入り込んでいることがわかる。

IgA抗体と粘膜質

IgA抗体がどんな細菌を選ぶのかは人間の祖先が細菌とともに過ごす中で徐々に決められてきた。長い時間をかけて作り上げられてきた巧妙な仕組みが人間の体の中に秘められていた。

ファガラサン医師は、「私達は細菌とともに長い進化の歴史を過ごしてきた。その過程で互いに助け合う仕組みを発達させたのです。腸内細菌と共に生きていることの本当の意味を知るべきです。私達は腸内細菌と一緒になって初めて一つの生命体なのです。」と話していた。

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