日本全国の草村や森林に広く生息するマダニ。このマダニ媒介する感染症で死者が出たことが先週明らかになった。厚生労働省は先月30日、ダニ媒介性疾患SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の患者さんが去年の秋に死亡したと発表。
マダニが媒介したウイルスが発熱や嘔吐を引き起こし、人を死に至らしめる危険がある。今のところ効果的なワクチンは存在しない。
このマダニはあなたの家にいるかもしれない。ペットなどにマダニが付着し、そのまま持ち込んでしまうことがある。生命を奪いかけない恐ろしいマダニ。
2013年2月4日放送のNHKゆうどきネットワークではマダニからどう身を守ればいいのかの対処法などを国立循環研究所主席研究員でダニなどの有害な生物を20年以上研究している五箇公一さんが解説していました。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の症状
SFTSの潜伏期間はかまれてから6日〜2週間で、症状は発熱、食欲低下、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、筋肉痛、けいれん、意識障害、昏睡、出血症状(皮下出血、血尿、血便、下血)など。
血液検査でわかるが治療薬やワクチンはない。
中国の例だと感染した人の10%がなくなると言われている。人から人への感染はない。
吸血性のフタトゲチマダニ
今回ウイルスを媒介していたのがフタトゲチマダニ。普通ダニは顕微鏡で見ないとわからないが、3〜5ミリの大きいダニ。日本全国に生息し寒い冬でも活動できる。
吸血性のダニで、血を1ヶ月ほど吸い続け、大きさは吸った後の大きさは体重100倍にも膨れ上がる。刺している間は麻酔薬のようなものを注入してくるので刺されていることに気づかない。さらに腫れたりもしないので発見が遅れることもある。
普段このマダニは屋外に生息しているが、ペットや人に付着して家の中に入ってくることもある。
30年以上ダニを研究し駆除をしている高岡正敏さんにによるとマダニは家の中や庭先で頻繁に見つかると言います。特に今回問題になっているフタトゲチマダニは駆除件数が一番多く、ダニの駆除の半分くらいがフタトゲチマダニ。
ウイルスを持ったダニがそこら辺に生息している状態が一番怖いとのこと。
草村に入った犬に付着し家の中に持ち込む
マダニは草村などに多く生息する。犬などが草村に入るとマダニが吐く息の二酸化炭素に反応して飛びつく。
犬の頬の黒い斑点のようなものがマダニ。こうしてペットなどに張り付いたマダニが家に持ち込まれて繁殖する可能性がある。
高岡さんは「草深いところに入って行く時はまだ煮が必ず付いていると思ったほうが良い。家に帰ってきたらお風呂に入らせるなど対応するしか無いと思う」と話していた。
ダニの種類
ダニは2種類に分けることが出来、ひとつは草食系のダニ。これは土の中や植物、家にいるがカビや食べかすな・ほこりなどを食べて生息している。
もう一つは肉食系のダニ。動物や人について血液や体液を吸っている今回のマダニのようなもの。この肉食系のダニは感染症を媒介しやすいので特に注意が必要。
動物の血を吸ったものが人間の血を吸うので、動物と人の間での病気の媒介が起こる可能性がある。
今回見つかったウイルス以外にも、日本紅斑熱病ウイルスやツツガムシ病やライム病ボレリアなど人間に対しても重篤な影響をおよぼす病原体媒介することもある。
全てのマダニがこういった病原体を持っているとは限らないので噛まれたら100%発症するわけではない。しかしマダニのどれくらいの割合にどれくらいの病原体が感染しているかの基礎データは足りていない。また地域によってバリエーションがあるので非常にブラックボックスの部分が多い。
可能な限り噛まれないようにすることが一番大事。
マダニの主な生息地
森林・草原・草村・山道・ハイキングコース・公園・緑地などにいる。
ダニ対策
一番良い対策はダニがいそうなエリアには近づかないということ。もし近づく場合は服装に注意する。ダニが食いつかないように肌の露出部分を可能な限り小さくする。また防虫スプレーを体にかけるとダニがつくのを防ぐことが出来る。
また家に入る前に服などに付着していないか確認することや、こまめに掃除することも大事。
噛まれた時の対処法
無理に取らない
自分で取ろうとすると体だけとれて頭だけが残ってしまい皮膚炎を起こしてしまうこともあるので、無理に肌からダニを取らない。ダニは差し込みがしっかりしているのですぐには抜けない。
潰したり触れたりしない
また取ろうと思ってダニの体を潰してしまうと体の中にあった血液と一緒にダニが持っている病原体が逆流してしまう可能性がある。
もしダニに刺されてしまったらダニをつけたまま皮膚科に言って切除してもらうのが一番安全。
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