2012年6月26日放送のNHKあさイチ!では“お肌の細胞”に喝!!驚き 美容医療・最前線ということで、しわ・しみ・タルミの最新医療(PRP(多血小板血しょう)療法・トレチノイン療法・高密度焦点式超音波タルミ治療マシン)について解説されていました。
しわ「PRP(多血小板血しょう)療法」
7年前から研究をしている、関西医科大学形成外科教授楠本健司さんによると、PRP療法とは体の中に備わっている機能を局所で働かせようという方法。血小板からとるから血小板療法のように聞こえるが、増殖因子を働かせているのが本来の目的。増殖因子とは血小板に含まれる成分の一つで、損傷した組織を再生させる働きなどを持つ。これを利用している。
そもそもしわは肌の真皮層にあるコラーゲンの減少などによって引き起こされる。そこのPRPを注入すると大量の増殖因子が溢れ出る。それがコラーゲンをつくる線維芽細胞の増殖を促す。その結果新たなコラーゲンがどんどん生み出され、肌のはりが蘇ると考えられている。
治療法
自分の血液を20cc程採血し、その血液から作ったPRP(多血小板血しょう)を、シワの気になる部分に注入、肌のハリが戻り、シワの改善がはかられる治療法
効果
治療後2か月目頃から。きちんと手入れをすれば、2年ほどもつと考えられている
治療を受ける際の注意点
より強い効果を求めて、PRPに加えて、人工的な成長因子を混ぜる治療法があるが、しこりなどの副作用が起こることも有りうる
たるみ「高密度焦点式超音波タルミ治療マシン」
皮下組織と筋肉の間、皮下4.5ミリのところに顔の筋肉を支えているSMASという強靭な筋膜がある。
超音波タルミ治療マシンはまずそのSMASに超音波を当てる。すると筋肉が引き締まり、さらに当てる深さを変えて、真皮層のコラーゲン繊維を破壊する。すると壊れた組織を再生しようと線維芽細胞が活発に働き出しコラーゲンがどんどん生み出される。その結果肌にはりが生まれたるみが改善されると考えられている。
治療法
肌の皮下組織と筋肉の間にあるSMASと呼ばれる筋膜と真皮層に超音波をあて、熱で筋膜を引き締め、かつ、コラーゲン線維を破壊、再生することで、たるみの改善をはかる治療法。
効果
治療直後に、筋膜の引き締め効果、その後2か月目頃から、コラーゲン線維の再生による肌のハリなどの効果が現れると考えられている。
治療を受ける際の注意点
はっきりと皮膚が垂れ下がっているような場合は、フェイスリフトやまぶたの下垂手術のように、メスで切って、皮膚や組織を持ち上げるなどのような手術が必要です。こうした「切らない」方法は、比較的若く、それほどたるみがひどくない方に向いているそうです。
しみ「トレチノイン療法」
大多数の場合はしみがある場合表皮の一番下の層に、メラニン色素が溜まっている状態。肌というのは生まれ変わっているので、下の方から新しい細胞ができ、1ヶ月から2ヶ月で生まれ変わる。しかししみが消えない理由は表皮の一番下にメラノサイトという細胞がありメラニン色素を作り続けているから。なので肌が生まれ変わってもメラニン色素の総量が変わらないのでしみはなかなか薄くならない。
トレチノインは肌の代謝を促す効果があるので、どんどん新しい細胞を作っていく。新しい細胞ができると古いメラニン色素を含んでいる細胞層はどんどん押し上げられる。今までは1ヶ月から2ヶ月かかっていたものが、1~2週間でターンオーバーする。しかしメラノサイトはメラニン色素は作り続けているのでハイドロキノンを使う。ハイドロキノンはメラノサイトがメラニン色素を作るのを防いでくれる。
トレチノインでメラニン色素を押し出していき、ハイドロキノンで新しくメラニン色素を作るのを抑えている。
治療法
表皮の細胞の増殖を促進、肌の新陳代謝を早める「トレチノイン」と、シミの元となるメラニン色素を作らせなくする「ハイドロキノン」の2種類の軟こうによる、シミ治療法。
効果
およそ2か月程度。シミの程度・個人差により、長くかかることも。
治療を受ける際の注意点
強い薬なので、必ず医師の指導の下に治療を行う。
催奇性のため、妊娠中の方は使えません。
この療法が効き目のあるシミのタイプ
表皮にあるシミの場合です。いわゆるシミは、メラニン色素の過剰沈着で起こりますが、その原因でもっとも多い、加齢や紫外線による色素斑、その他、炎症でおこる色素沈着やそばかすなどがある。それよりも深い真皮層にあるアザなどは、レーザーに頼ることになる。
また30代~40代の女性によくみられる肝斑など、レーザー治療を避けた方がよいものにも向いているが、肝斑自体は、なかなか治りにくいもので、トラネキサム酸やビタミンなどの内服薬の併用がお勧め。
副作用について
副作用として、塗った部分が赤みを帯び、角質がポロポロと取れていく。トレチノインの付けすぎなどによる皮膚炎で、強い痛みが起こることがあるが、きちんと医師の指導を受けていれば、ピリピリはしても、強い痛みを感じることは、ほとんどない。
※「トレチノイン」は、薬局で市販されていない。医師や病院による自家調剤の形で、美容外科のほか、美容を専門とする皮膚科や、形成外科などで処方されている薬。
良い医師・悪い医師の見分け方
こうした言葉を医師から聞いたら、要注意。
- 「今すぐできますよ」 治療をせかす。
- 「副作用?ないない」 マイナス面を説明しない。
- 「ついでに二重にする?」 他の治療を勧める。
ちなみに、治療前に「どのような薬を使うのか、その安全性は、施術のリスクは」などを丁寧に教えてくれる、すなわち説明を十分にしてくれる医師は良い、とのこと。
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