2013年2月25日放送のNHKこんにちはいっと6けん「ホットdeいっと」では、昭和大学医学部教授の本間生夫さんが老化予防に効果的な呼吸筋ストレッチのやり方を紹介していました。
呼吸筋とは?
年齢とともに衰えるのは体力だけではなく、肺の機能も老化してしまう。
深呼吸がうまくできない。呼吸が浅くなっている気がする。のどが詰まるような感じがする。胸が硬くなっている気がする。
こういったことがあったら肺機能が老化しているかもしれない。
そもそも呼吸というのは肺が伸び縮みしているわけではなく、その周りにある横隔膜などの筋肉が伸び縮みして肺を動かすことで呼吸をしている。息を吸うための筋肉とはくための筋肉があり、それらをまとめて呼吸筋と呼んでいる。
呼吸筋は首・お腹まわり・背中などの広範囲にわたって人の呼吸を支えている。
ところが年をとって筋肉が硬くなっていくと伸び縮みがしにくくなり、結果、肺機能まで衰えてしまう。
またストレスなどが加わると呼吸筋が硬くなっていく。そうすると呼吸筋が伸び縮みしにくくなるので普段から呼吸筋を和らげて呼吸しやすくするということが必要。
呼吸筋をストレッチしてほぐして若返らせようというのが呼吸筋ストレッチ。
この体操はもともと呼吸器疾患の患者さんの息苦しさを和らげるということで考案された。しかし患者さんだけではなく一般のかた、特にお年をめした方の肺機能を高めるということに役だっている。
呼吸筋ストレッチ① 首のストレッチ
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- 片手を斜めに伸ばし、息を吸いながら首を倒し、息を吐きながら首を戻す。反対側も同じように行う。
腕を伸ばした方の肩があがらないようにするのがポイント。
このストレッチは肩こりにも効果的。
呼吸筋ストレッチ② 胸壁のストレッチ
- 1
- 両手を腰の後ろで組み、軽く膝を曲げて息を吸う。
- 2
- 息を吐きながら腕を後ろに伸ばす。
腕を伸ばすときに肩甲骨を閉じるようにするのがポイント。
呼吸筋ストレッチ③ 胸と背中のストレッチのやり方
- 1
- 両手を腕の前で組み、行きを吸いながら腕を前に伸ばして背中を丸めていく。息を吐きながら戻す。
大きなボールを抱えるようなイメージで背中を丸めるのがポイント。
背中のストレッチは脊柱起立筋という重力に抵抗するような筋肉を鍛えられるので、姿勢もよくなる。また心臓も助け、血流も良くする。
これらの3つのストレッチをそれぞれ3回ずつ、1日3回を目安に行う。いずれのストレッチもゆっくり呼吸をしながら、もし痛みが出る場合は無理をしない。
呼吸筋には息を吸う筋肉とはく筋肉があるので、息を吸う筋肉をストレッチをする時には息を吸う。息を吐く筋肉をストレッチする時には息をはく。そうしないと効果がでない。
呼吸筋ストレッチの効果
番組では呼吸のしずらさを感じる70代の方々に、この呼吸筋ストレッチを1日3回1週間続けてもらうことに。
1週間後、呼吸機能を検査した所、呼吸筋ストレッチをやる前の検査よりも呼吸が整っていることがわかった。
また普通の呼吸をしているところから息を思いっきり吸って、肺に取り込める空気の量が最大何リットルあるかという測定をした。これが多いほど体内に酸素を取り込む力が高く肺機能が良いということ。
その結果、体験した5人全員とも大幅にアップしていた。
この値は最大吸気量と呼ばれていて、普通に呼吸しているところから、さらにどれくらい肺に空気を吸い込めるかという指標になっている。
最近、肺機能の値の中でもこの値は大変注目されている。それはこの値が老化に関係しているため。
年をとってくるとこの値が減ってくるそうです。
ストレス軽減にも効果的
また最近の研究ではストレスの軽減にも効果を発揮するということがわかってきている。本間先生が高齢者40人を対象に心理テストによるストレスチェックを行った結果、ストレッチ後にはストレス度が減ることがわかった。
私たちの脳の中には喜怒哀楽の感情を作り出している中枢がある。この中枢の活動は呼吸と密接に関わっていて、呼吸にリンクしてその環状の活動でてくることがわかっている。
つまり感情が変わると呼吸が変わり、呼吸が変わると感情も変わる。それを利用して呼吸を整えることによって感情をコントロールすることができる。
呼吸を整えるということでは体操だけではなく、いい香りをかぐ、生花などで美しいものを見る、こういうことでも呼吸が整えられて気分が安定してくる。
呼吸筋ストレッチで被災地の心のケア
本間先生はこうした研究の結果を踏まえ、東日本大震災で被災した小学校を訪ねて子どもたちを対象に呼吸筋ストレッチの出前講座というのを行なっている。
子どもたちの不安度が下がるという効果も出ているそうです。
こちらのホームページで本間教授の解説が読める。
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