インフルエンザの流行が各地で本格化している。去年の同じ時期に比べて2倍近い勢いで患者が急増している。その感染拡大を防ぐ有効な手段の一つとして注目されているのが紅茶。紅茶に含まれる成分がインフルエンザウイルスの感染力を失わせる効果があることが研究でわかってきている。
2013年1月30日放送のNHKこんにちはいっと6けんでは、昭和大学名誉教授の島村忠勝さんが紅茶のインフルエンザ予防効果について解説していました。
なぜインフルエンザに感染するのか
インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真を見ると、ウイルスの周りにいがぐりのように突起があることが分かる。この突起が細胞に吸着してしまう。
これが細胞の中に入り込むことがきっかけで感染してしまう。番組では感染した犬の腎臓細胞を紹介。
インフルエンザ予防に効果がある紅茶,緑茶
感染してしまうとその人がせきやくしゃみをしてそれを周りの人が吸い込む、いわゆる飛沫感染によってどんどん拡大していってしまう。
その拡大を防ぐと期待されているのが紅茶。
また緑茶についてもインフルエンザの予防に高い効果が認められるとうことで、学校などで緑茶うがいなどが浸透している。
なぜお茶がインフルエンザ対策に効果があるのか
お茶にはカテキン、紅茶の中には赤い色素テアフラビンという成分が入っている。このカテキンとテアフラビンはインフルエンザウイルスの突起に付着するという性質がある。
カテキンやテアフラビンがついたウイルスは、細胞に吸着できないので感染力を奪う効果がある。
紅茶はウイルスの感染力をゼロにする
番組では千葉県習志野市にあるNPO邦人バイオメディカルサイエンス研究会の理事長特任研究主幹の中山幹男さんを取材。中山さんは企業や行政から依頼を受けて様々な研究を行なっていて、一昨年紅茶に関する発表をした。
実験は犬の腎臓の細胞をシャーレで培養し、その培養した細胞にインフルエンザウイルスと紅茶を混ぜたものを加えてウイルスが細胞に感染するかどうかというのを調べるというもの。
ウイルスが細胞に感染したところは白い点となって現れる。この白い点を数えることで細胞に感染したウイルスの数がわかってくるが、紅茶を混ぜたものにはその点がひとつも出なかった。
点がなければ生きているウイルスがいないということなので、ウイルスの感染力をゼロにしてしまう力が紅茶にはあるということが分かった。
紅茶は短時間でも効果がある
番組では紅茶の力がどのくらいあるのか、ウイルスの効果が高いと言われている緑茶と比較してみることに。
150万個のウイルスとお茶を10秒間混ぜて調べた所、お茶を混ぜなかったウイルスは150万個全て感染したが、緑茶を混ぜたものは1/10近い約20万個まで減少。さらに紅茶では0個だった。
しかも紅茶は5倍薄めても効果は変わらず0個のままだった。
中山さんは緑茶も紅茶と同じように効いたが、効き方は紅茶のほうが優れている。特に短時間で見ると紅茶は素晴らしい。緑茶も効いているが聞き方に時間がかかる。そこが大きな違い。」と話していた。
緑茶よりも紅茶のほうがパワーがある理由
お茶の成分に違いがある。緑茶のカテキンがウイルスを捕まえる 紅茶のテアフラビンはカテキンが2つついた構造をしている。そのためウイルスを捕まえる力が強い。
紅茶だけではなくウーロン茶もテアフラビンに近い成分が含まれているので紅茶と同じくらいの効果が期待できると言われている。
A型,B型,新型インフルエンザウイルスに効果あり
研究によると、A型、B型両方のインフルエンザウイルスに効果があることが分かった。また最近の研究によると2009年に流行した新型インフルエンザウイルスにも効果があるという結果が出ている。
飲めば必ず予防できるというわけではない。例えば喉や鼻の粘膜にウイルスが吸着してしまったら飲んでも意味が無い。紅茶を飲むことには予防の可能性がある。緑茶を普段飲んでいる人はインフルエンザにかかりにくいという疫学調査がある。なので紅茶にも可能性が高い。
インフルエンザにかかっても紅茶には炎症を抑える効果があるので、喉の痛みを和らげ、症状を悪化させないという効果もある。
またインフルエンザウイルスは粘膜細胞の中で増殖した後は、必ず外に出てくるという性質がある。そうした外に出てきたウイルスに対して、紅茶を飲むことによってウイルスの感染力を失わせることができるので、周りに人に移さないという効果がある。
1時間に1回紅茶を飲むと良い
中山さんは1時間に1回紅茶を飲むのがいいのではないかと話していた。
ティーバックでおいしいお茶を入れるコツ
さらに番組では紅茶研究家の磯渕猛さんが自宅でも簡単にできるティーバッグでの美味しい紅茶の入れ方を紹介していました。磯淵さんは神奈川県で紅茶の専門店を経営する傍ら、紅茶の商品開発や紅茶の入れ方講座をするなど、幅広く活躍している。
紅茶の入れ方
- 1
- 先にカップにお湯を入れておく。
- 2
- お湯にティーバッグを優しく沈め、紅茶の香りが逃げないようにフタや皿をかぶせる。
揺すると細かい雑維質がでてきて雑味を感じやすいのでできるだけ静かに入れる。香りがどうしても飛んでいくので、できるだ香りを中に閉じ込めるためにフタをする。
ティーバッグを上から勢い良くお湯に注いだり、ティーバッグを乱暴に揺すってはいけない。
実際に普通に入れた紅茶と、この入れ方の紅茶を飲み比べてみると全然違い、すっきりしていて香りもあるとコメントしていた。
レモンティーの入れ方
- 1
- レモンを切って皮をとり、果肉だけを使う。
レモンティーは渋くなるという人が多いが、原因はレモンの皮の部分。皮を入れないように取ってしまい果肉のクエン酸を使う。
- 2
- レモンを入れたティーポットにお湯→ティーバッグの順に入れる。ティーポットがなければ急須やマグカップでもOK。
- 3
- 2分ほどたてば飲み頃。
磯淵さんは「ティーバッグ1個でティーカップ2杯〜2杯半分作れるから経済的だし、ちょっと気を遣っていれると美味しくなる。簡単に楽しむことができるのでぜひおいしい紅茶を召し上がってください」と話していた。
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