2015年3月3日(火曜日)放送のテレビ朝日・たけしの健康エンターテイメント!みんなの家庭の医学「太らない身体を作る!腸内フローラSP」では、1万人以上の肥満や糖尿病患者を診察してきた名医・慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授の伊藤裕先生が腸内細菌のバランスを良くする方法などを紹介していました。
腸内細菌と太りやすさの関係
腸の中には腸内細菌というたくさんの細菌が住んでいる。このバランスが崩れていくると便秘になる。腸内細菌のバランスが崩れるということが肥満と関係していると近年注目されている。
腸内細菌とは腸の中で行きて活動している乳酸菌や大腸菌などの細菌のこと。その数は100兆個以上いると言われている。
腸内細菌は人が消化できない栄養分を分解して吸収できるようにしてくれてり、ビタミンやタンパク質の合成をしてくれる人間にとって大切な存在。
腸内細菌は大きく3つのグループに分けられる。
腸内細菌の種類
善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)
食物からのエネルギー吸収を適切な量にコントロールしたり、腸の蠕動運動を促すなど、人間にとって良い働きをしてくれる。
悪玉菌(大腸菌など)
食物などを腐敗させたり、時には癌の原因になるなど主に人間の害になることが多い細菌。
その他の細菌(日和見菌)
その時の環境によって善玉にも悪玉にもなるその他大勢の菌。
これら3つの種類を合わせて1000種類以上の腸内細菌が腸の中に広がっている様子を表した言葉が腸の中のお花畑「腸内フローラ」。フローラとはラテン語でお花畑という意味。
画像は腸内の様子をイメージ化したCG。青系が善玉菌、赤系が悪玉菌、グレー系がその他の菌を表している。
このように無数の菌がひしめき合う様子がまるで花畑のようだということで腸内フローラという名が付けられた。
この腸内フローラの状態が太りやすさに大きく関係しているということが近年の研究で明らかになってきた。
太りやすい身体を作ってしまう原因は腸内細菌のバランスが崩れること
肥満の原因は基本的には食べ過ぎと運動不足。太りやすい人と太りにく人の体質を決めているのが腸内細菌なのではないかと言われている。
健康な人の腸内フローラは青系の善玉系が赤系の悪玉菌より多く優勢な状態に保たれている。それぞれの菌の割合はだいたい善玉2:悪玉1;その他7というのが一般的には理想的と言われている。
ところが何らかの原因でバランスが崩れ善玉菌が減り、悪玉菌のほうが多くなってしまうと、善玉菌が減ることで腸の蠕動運動が悪化。
便秘を引き起こすばかりか、普段善玉菌の働きで適度な量にコントロールされていたエネルギーの吸収が抑えられず身体中の細胞内にどんどん過剰に蓄えられてしまうことに。これが太りやすい身体の原因になっているのではないかと考えられている。
腸内細菌のバランスが崩れる2大原因「加齢」と「高脂肪食」
腸内細菌の量は約1kg。大便から水分を除いた残り半分近くは腸内細菌の死骸。赤ちゃんの腸内細菌はほとんど善玉菌で便があまり臭くない。加齢とともに悪玉菌が増え便が臭くなる。
腸の細胞はものすごく入れ替わりが激しく3日に1回程度で入れ替わる。しかし年をとると腸の細胞の新陳代謝が悪化。環境が悪くなるため善玉菌が育ちにくくなる。
肉類などの高脂肪食は悪玉菌が好むエサ。特に動物性脂肪。霜降り肉が1番ダメ。
便が臭くなったというのは腸内細菌のバランスが崩れている可能性がある。
悪玉菌もある程度の数は必要。たくさんの種類の腸内細菌がバランスよく存在することが重要。
腸内細菌は太りやすさだけではなく全身の様々な機能に大きく関わっていることが近年の研究でわかってきた。そのため一度腸内細菌のバランスが崩れると様々な病気のリスクを高める可能性がある。
腸内細菌のバランスとと花粉症の関係
全身の免疫細胞の約60%が腸に集中している。物を食べると腸内細菌の動きが活発になり、免疫細胞が活性化する。しかし腸内細菌のバランスが悪化すると免疫細胞が異常をきたす。
腸内細菌は免疫力のコントロールにも大きな役割を果たしている。そのため腸内細菌のバランスが崩れると免疫細胞が暴走し過剰に炎症を起こしてしまう花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患のリスクが高まることに。
他にもがんや動脈硬化、うつ病などの精神の病まで、全身の様々な病気に腸内細菌が関わっている可能性が近年わかってきた。
腸内細菌のバランスを良くする3つの方法
発酵食品や食物繊維が腸内環境の改善に効果的なのは言わずもがな。
たくさんの品目の食品を食べる
腸内環境に良いと言われる発酵食品や食物繊維だけを摂るのではなく、肉・魚・野菜・炭水化物など色々な種類の食品を摂ることが腸内細菌にとっては重要。
一般的に推奨される1日の摂取品目は30品目。
食後は昼寝などで安静に過ごす
食事をした後は消化のために多くの血流が腸に集まる。すると腸の動きが良くなり腸内細菌も活性化。運ばれてきた食べ物から腸内細菌が栄養を摂取。
人間の昼寝の時間は腸内細菌にとってのランチタイム。食後安静にすると腸に血流が集まり腸内細菌が元気に育つとかんがえられる。
刺繍や絵・料理など脳と手先を使う複雑な作業をする
腸は脳に次いで神経が集中しており、第二の脳とも言われる臓器。刺繍などの複雑な動きで脳を活性化することで、その刺激が腸の動きを活性化し腸内細菌のバランスを良くすることにもつながる。
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