萩尾望都さんが王様のブランチで話していた内容 6月9日

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2012年6月9日放送のTBS王様のブランチで萩尾望都さんがインタビューで話していた内容についてです。

萩尾望都さんは少女漫画の神さま40年以上にわたってヒット作を生み出してきた作家。1969年ルルとミミでデビュープロの少女漫画家として今年で44年目を迎える。その作品は文学的と称されこれまで数々の賞を受賞。
1976年:「ポーの一族」「11人いる!」で小学館漫画賞受賞
1997年:残酷な神が支配するで手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞
2006年:バルバラ異界で日本SF大賞受賞
2011年:日本漫画協会文部科学大臣賞受賞
そして今年学術・芸術・スポーツ分野の功労者に送られる紫綬褒章を少女漫画家として初めて受賞した。

紫綬褒章をした感想について「本当にびっくししました。全然思ってもいなかったので、川の上から桃がどんぷらこどんぶらこといきなり流れてきたように、本当にびっくりしました。」とコメント

漫画家を目指したきっかけは?

高校2年生の終わりの時に手塚治虫さんの新選組という単行本を読んでそれにすごく感動した。主人公が色々悩むんですよね。どちらをとることもできない苦しみとか、追い詰められていく悲しさとか友達を失っていく辛さとか、なんかそういうものをすごく感じてしまって。今思うとダイレクトで若々しい悩みに、当時はすっかり引きこまれてしまって、私も同じような漫画の世界に入りたいと思って、それから本格的に投稿とかいろんなことを始めた。

ポーの一族が大きな話題になった

本当に対人のコミュニーケーションが苦手で、1年365日のうちの1年365日それで悩んでいるという感じで、毎日毎日「私の行ったことちゃんと伝わっただろうか」「私は相手のことを誤解せずにちゃんと受け止めただろうか」「返事がないけど変なこと言っただろうか」「過剰になつかれているけどなんかしただろうか」ということを考える。考えるだけで行動に移さないので、ぐるぐると頭の中が煮詰まっていく。そういうのがどうしても作品に反映されてしまうのではないかと。吸血鬼モノをなどを描くときにはすごく主人公にフィットしてしまう。吸血鬼の「われは嫌われ者だぜ」というようなことの気持ちがわかるなど思う。

萩尾さんにとってSFとは

SFというのは未来小説・空想物語なんだけど、言ってみれば今の時点からスタートして未来のコトを考えるということは、可能性としての未来というのをずーとシミュレーションしている。それこそ今となってはなんですけど、原子力発電所が事故を起こしたなんてのも昔ありましたし、もしこちらの道を選択したらこんなことが起こるのではないかということを、まじめに考えれば学ぶことも多いじゃないかと思う。

萩尾作品に登場する美少年たちのモデルとなった人物は?

俳優として好きなのはアル・パチーノやロバートデニーロ。日本だと木村拓哉。昔金髪の青い目の少年が主役の海外の映画がたくさんあった。それを見たらヨーロッパの子どもってなんて可愛いんでしょう、金髪の青い目で背広が似あってと思った。私は炭鉱町(福岡県 大牟田市)で育って周り中炭鉱って感じだったから、ヨーロッパの子どもに憧れた。

最新刊「なのはな」について

【萩尾望都さんの最新刊「なのはな」は東日本大震災に衝撃を受け描いた5つの短篇集。
表題作なのはな:福島で生まれ育った小学6年生のなほ。あの震災のせいで今もおばあちゃんは行方不明のまま。でもいつか帰ってくると信じているナホは夢の中でおばあちゃんと出会う。ところがそこにはもう一人女の子の姿があった。彼女はおばあちゃんの種まき器でなのはなを植えていく。なんともないこの行為が象徴するのは未来への祈り。そして希望。】

福島はこれからどうなるんだろう、日本はこれからどうなるんだろうという不安がどんどん広がっていって、そしたら4月の初めに友達がお花見に誘ってくれた。お花見に言ってもその話になる。そしたら一人の人が「チェルノブイリでも原子力発電所の事故があったけど、そのあと汚染された土壌を改良するためにいろいろな植物を植えているらしい。何年もかかるけど植物が放射性物質を吸収してくれる。ひまわりとか麦とかなのはなを植えている」ということを聞いて、それはすごいと思って帰ってからパソコンで調べたら、確かにいろんなところで植物を植えている。日本でも福島の方ですでに植物を植えようという取り組みが始まっていた。すごくそれに力づけられて、なのはな畑が広がったら素敵だなと思ってこれを描いてみようと思った。

雑誌「ダ・ヴィンチ」編集部の服部美穂によると「なのはな」はとても挑戦的な作品だそうです。プルトニウムやウランなど放射性物質を擬人化した「プルート夫人」「雨の夜-ウラノス伯爵-」「サロメ20xx」の3部作があるが、このアイデアと着眼点がすごい。萩尾さんは原発と人間の歴史を、絶世の美女に夢中になって危険だとわかっていても逃れられない人間に例えて物語を3つ考えた。力への欲望へ抗えられない人間の郷の業のようなものを考えさせられる。なので自分自身のこととしてより深く考えさせられるというところがあり、過去の萩尾作品にすべて共通しているがとても深く物語の世界に入り込んで、結果自分の中からこれは自分に突きつけさせられた問題だと考えさせられるところがある。若い方は萩尾作品の作品をご存じない方はたくさんいると思うが昔の作品もまったく古びることがなく、今読んでも本当に面白いのでぜひ読んでほしいなどとコメントしていました。

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