高齢者の薬の副作用の症状/SJSスティーブンス・ジョンソン症候群【NHKあさイチ12月19日】

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2012年12月19日放送のNHKあさイチ!「意外!身近な薬に落とし穴」ではスティーブンス・ジョンソン症候群などの薬の副作用について紹介されていました。

高齢者は薬の副作用が起きやすい

薬の副作用は若い人でも5%ぐらいあるが、これが75歳位上の方になると3倍15%以上。平均すると6人に1人ぐらいが副作用が増えている。薬の代謝排泄が落ちたり、多く薬を飲んだりなど、高齢者特有の病状が関係している。

代謝排泄機能の仕組み

同じ薬を飲んでも若い人は副作用が出ない場合がある。薬を飲むと薬の成分が体内に広がっていく。そのあとに肝臓や腎臓の働きで成分が体外に排出されるようになっている。しかし年をとっていくと肝臓や腎臓の機能が低下し、薬を飲んでその成分が広がるが排出されないため、その成分が残って濃くなって副作用が起きやすい。これが原因の1つと考えられている。

医師の中でも薬の量のことはよく知られるようになってきて、高齢者の方にはまず少ない量で試してみるというふうになっている。

飲む薬の種類が多いと副作用の可能性も高まる

高齢者の薬の副作用の症状/SJSスティーブンス・ジョンソン症候群【NHKあさイチ12月19日】

都内の診療所に通う高齢者の方の2年間転倒があったか調べた。薬の種類が2〜3種類のかたは転倒の頻度は20〜30%に収まっているが、5種類以上になると40%以上になることもある。薬の量の多さと種類の多さにも気をつけなければいけない。

高齢者は病気が増えるのでそれに応じて薬の種類が増える。また内科だけではなく整形外科、耳鼻科などの幾つかの病院に通うことがあると、同じような効果の薬が出ていてたり、逆の効果の薬が出ていたということがある。これによって転倒のような副作用が見られることがある。

長年飲んでいる薬も気をつける

長年飲んでいる薬でも気をつけたほうが良いこともある。秋下先生のもとに訪れた80代の女性はふらついて転倒しそうになるとういことを訴えてた。この原因は整形外科から処方されて10年前から服用していたビタミンD剤。それまでは大丈夫だったが年を重ねていくと影響が出てくることあ有る。

そもそもビタミンDが不足すると筋肉が低下して転びやすくなる。ろころがこの型の場合は量が多かったということと、腎臓の働きが落ちていた。この薬が効きやすくなってしまい、中毒状態になり血液中のカルシウムがあがり、意識がふらふらになり転びそうになった。

高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト

日本老年医学会は高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリストを作成している。URL:http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/drug-list.pdf

高齢者の副作用の例

番組では愛知県に住む伴美恵子さん(77歳)を取材。一昨年薬が原因で体調を大きく崩した。きっかけは夜眠れない日が続いたこと。精神的な問題かもしれないと不安になった伴さんは心療内科を受診。診察の後すぐに薬を処方された。

夜眠れるようになる睡眠薬2種類と心を落ち着かせる抗うつ薬2種類。腸の持病のために飲んでいる薬もあったため合わせて6種類、15錠の薬を毎日欠かさず薬を飲んだ。ところが間もなく体に異変が起きた。朝起きて部屋を出ようとした瞬間、突然ふらつき転んでしまった。このとき足首を打ち捻挫をしてしまった。

さらに東京に住む娘が訪れた時には、突然料理を創りだす話をするなどいつもと様子が違い認知症のような症状が出てた。心配した娘は伴さんを高齢者の症状に詳しい医師のもとへ連れて行った。診察した秋下医師は症状を聞いてすぐに飲んでいる薬を詳しく調べた。

当時伴さんが飲んでいた薬は心療内科で処方された睡眠薬と抗うつ薬がそれぞれ2種類、さらに持病の腸の薬が2種類。秋下医師はこれらの薬のなかに問題があると指摘。伴さんの薬の中には一般的に高齢者には使わないほうがいいとされる薬もあった。

薬の中には高齢者が飲むと副作用が起きやすいものがあり、学会ではリストを作って呼びかけている。ところが副作用について知らない医師も多く、伴さんの症状は見落とされてしまった。

高齢者は薬の代謝排泄機能が落ちて、悪い方の副作用が全面に出てくることがある。特にある程度以上の量を使った場合効果は頭打ちし、副作用だけがでてくる。

伴さんが飲んでいた薬の内リストに乗っていたものは2つあった。幻覚・錯覚・転倒などが起きやすい薬と歩行障害・手の震えなどが起きやすい薬。秋下医師はまず睡眠薬を副作用が起きにくいものに変更。抗うつ薬は量を減らした。さらに他の薬も徐々に減らしていった。すると伴さんに変化が起きた。認知症と疑われる無気力な感じは消え、ふらつくこともなくなった。秋下医師を訪れてから2年、持病の腸の薬は飲んでいるが心療内科で書房された薬は2日に1回、半粒だけ飲むようになった。

スティーブンス・ジョンソン症候群などの副作用

重篤な副作用として多く報告されているのがSJS、スティーブンス・ジョンソン症候群。年間に100万人に数人程度という稀な症状だが発症すると死に至るケースもある。番組では薬の副作用による後遺症の治療を行なっている京都市立医科大学附属病院を取材。月に一度開かれるSJS外来はスティーブンス・ジョンソン症候群を発症した患者が受診する。

この日外来を訪れた岡村かおりさん(27歳)は6年前に薬をのんで病気を発症した。岡村さんは副作用で左目の視力をほとんど失った。岡村さんが副作用を発症したのは20歳のとき。岡村さんは軽い風邪をひき、発熱と頭痛と感じた。

風邪をこじらせてはいけないと思い以前にも飲んだ経験がある解熱鎮痛薬を用途・容量を守って飲んだ。すると翌朝唇が荒れて熱く感じ目も痛痒く充血してしまった。目の症状が気になった岡村さんは眼科を受診したところ、細菌性の急性結膜炎という診断を受けた。

風邪とみられる症状はその後も改善せず、顔ににきびのような発疹が現れ体温を計ると39度近くまで上がっていた。そこで再び同じ市販の解熱鎮痛薬を飲み様子をみた。最初に薬を飲んでから3日目、風邪を早く治したいと思った岡村さんは内科を受診。そこでは風邪とよく似た症状の手足口病と診断された。さらに排尿痛があったため婦人科も受診。しかし結果は原因不明。時間が経過する中岡村さんの体内では深刻な事態が進行していた。

明らかに異常が現れたのは4日目の夕方。鏡に映る姿を見た岡村さんは愕然、口の中を覗いたらびっしり水泡だらけになっていた。命の危険さえ感じた岡村さんは総合病院の夜間急病センターに駆け込んだ。この時岡村さんを診断した東克己医師は薬の副作用によるスティーブンス・ジョンソン症候群かと直感した。各部位の粘膜の症状が目・口・喉の粘膜にやけどのような水泡ができているのでその病気を疑った。

岡村さんはすぐに大学病院の専門医を紹介され治療が始められた。皮膚のただれがやがて全身に広がった。さらに肺にまで炎症が拡大。呼吸困難に陥り生死の境をさまよった。しかし懸命な治療によってかろうじて一命を取り留めた。それから6年。岡村さんは今も後遺症に悩まされている。視力の低下から仕事はやめざるおえなかった。収入が絶たれた一方で、後遺症の治療に月2万円がかかる。

岡村さんのケースは薬による副作用だと国から認められた。しかし救済制度によって支給されたのは発症当時の医療費など66万円に限られた。岡村さんは一人でも多くの人に市販薬には副作用があることを知ってほしいと、インターネットに自分の体験を綴っています。

市販薬によるものと疑われる副作用報告

あらゆる薬で副作用が起こることが報告されている。昨年度までの5年間に製薬メーカーから国に報告があった市販薬によるものと思われる重い副作用の報告のグラフ。様々な種類で副作用が起こる。

高齢者の薬の副作用の症状/SJSスティーブンス・ジョンソン症候群【NHKあさイチ12月19日】

処方薬でもかなり副作用がおこり、国に対して報告される副作用の件数はだいたい医療機関と製薬企業合わせて年間約3万件報告されている。その内の大半が処方薬。

副作用が起こる仕組み

スティーブンス・ジョンソン症候群などの副作用の原因は厳密にはわかっていないが、アレルギーの一種で起きるのではないかと考えられている。薬を飲んだ時にカラダの免疫の機能が過剰に働いてしまうことが考えられている。この過剰な反応が皮膚などに出た場合はSJSで全身、口の中などに発疹ができる。肺に出たときは間質性肺炎というものになり、空せき、息切れ呼吸困難などが主な症状としてでてくる。

肝臓に反応が出た場合は薬物性肝障害で吐き気や黄だんがでたりする。この3つのものに共通することは発熱を伴うということ。

早期治療が重要

重い薬の副作用の一つSJSに10年位上携わってきた京都府立医科大学の外園千恵医師を取材。外園さんは発症の初期に的確な治療を行えば多くの副作用の重篤化は防げると考えている。

例えば目に症状が出た場合に効力を発揮するのがアレルギー反応を抑える薬、ステロイド点眼薬。外園さんの調査によれば発症から1週間以内にステロイド点眼薬を使った場合、7割以上の人が視力0.1以上を保つことができた。しかしそうでない場合、0.1以上を保つことができたのは2割だけだった。治療の開始が早ければ早いほどその効果が期待される傾向が示された。

高齢者の薬の副作用の症状/SJSスティーブンス・ジョンソン症候群【NHKあさイチ12月19日】
早い時期にできるだけ早く診断すれば目薬で炎症を抑えることができる。それでも効かない場合は他の治療法で選択できるものがあるので、早く治療をすることが大事。

しかしそうしたいち早い治療が難しいという実態が明らかになっている。外園さんはSJSの患者が最初に何の病気と診断されたのかを調べた。調査の結果4割の人が誤診されていた。発症の初期に薬の副作用だと見極めることの難しが重篤化の原因になっていると外園さんは考えている。非特異的な症状が集まるなどの決定打になるものがないので難しい。

重篤副作用疾患別対応マニュアル

こうした事態を受け厚生労働省も対策に乗り出した。昨年度までに75種類以上の副作用に対してマニュアルを作った。 重篤副作用疾患別対応マニュアル|厚生労働省
誤診しやすいケースと正しく判別する方法が記されている。

副作用を未然に防ぐ研究も進んでいる

さらに薬の副作用を未然に防ごうという研究も進んでいる。副作用を発症した人から血液の提供をうけ、遺伝子を解析したところ、副作用を発症しやすい体質があることがわかってきた。SJSの場合発症との関連が明らかになったのが免疫に関係する二つの遺伝子。HLAーAとTLR3。この2つの遺伝子が特定の型になっていると、そうでない人に比べ48倍もSJSを発症しやすくなることがわかってきた。研究チームは今後さらに研究を進め、将来的には副作用を発症の予防に繋げたいと考えている。

薬・サプリメント・健康食品ををのむ上で気をつけること

  • 自分が飲む薬の副作用の特徴を知った上で使い始める。
  • 使い始めて症状が良くならない場合は副作用の可能性もあるという認識をもつ
  • おかしいと思ったらできるだけ早い段階で医師・薬剤師に相談する。
  • 記録をつける。どんな種類の薬をどれくらいの量、いつ飲んだか、飲んだ後どのくらい経って症状がでたかなど。これらを記録することで薬によって副作用が起きたかどうかがわかるポイントになる。

薬以外のサプリメントなどの健康食品でも重い副作用が起きることが報告されている。

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