2012年12月21日放送のNHKあさイチ!では抗インフルエンザ薬イナビルの異常行動などについて解説されていました。
流行がはじまっているインフルエンザ
今月14日時点で佐賀・沖縄・群馬など8つの県で流行が始まっているインフルエンザ。国立感染症研究室主任研究官の安井良則さんによると、本格的な流行は1月に起こる可能性が高いとのこと。
インフルエンザで心配なのがいわゆる異常行動。今週インフルエンザにかかったという男の子も不思議な体験をしたといいます。起きてしゃべっているが、「漫画のキャラクターがいるよね」など、突然走りだしたり、熱で我を忘れて訳がわからなくなったそうです。
抗インフルエンザ薬による異常行動
タミフルとリレンザの服用後の異常行動については有名だが、2010年から処方薬に加わったのがイナビルとラピアクタ。
タミフルとリレンザは5日日間の服用が必要になるのに対し、イナビルとラピアクタは1回の投与ですむということで処方が広まっている。しかしイナビルの服用後にも異常行動が起きるということが先月報告された。
イナビルでも異常行動が報告された
先月開かれた日本小児感染症学会では、抗インフルエンザウイルス薬イナビルを服用後の異常行動や言動についての報告がされた。
イナビルは吸引するだけの薬。一回の服用ですむので処方が広がり、昨シーズンはタミフルに続き2番目に多く出荷されている。
今回異常行動について報告した川崎医療大学小児科学教授の中野貴司教授は、医療機関や患者から自発的に報告のあった症例を調べた。するとイナビルの異常行動・言動は2010年と2011年の2シーズンで245例あった。その中で自分や他人を傷つけてしまう可能性のあるケースが56例あった。
ある10代の男の子の場合、イナビルを服用後寝ていたところ急に起きだし、全身を叩いて暴れだした。驚いた両親が子供を落ち着かせ再び寝かせるが、その後階段を駆け下り外に出ようとした。それも両親が止め幸い大きな事故には繋がらなかった。
異常行動は10歳代の男性/インフルエンザ初期に起こりやすい
こうした異常行動にはある傾向が見られることがわかった。報告された症状を解析してみると、10歳代の男性に多く見られ、また病気の初期に多いということもわかった。
インフルエンザにかかって丸2日間で異常行動・異常言動が現れやすい。
薬を飲んでいなくても異常行動を起こす
しかしこうした言動や行動はイナビルそのものが原因なのかどうかはわからないといいます。一番悪いのはインフルエンザだが、そこに薬がどの程度影響しているかはきちんと調べる必要がある。
川崎県衛生研究所所長の岡部信彦さんの6年間の調査では、抗インフルエンザ薬を飲んでいないで異常行動を起こす人も9%〜25%いるということがわかった。抗インフルエンザ薬を飲んでも飲まなくても注意して見守る必要がある。
インフルエンザの異常行動
- 突然走りだす
- 激しくうわ言をいう
- おびえ・恐怖状態
- うろうろ歩く
目覚めの頃に起こる症状なので、特に注意する。
インフルエンザにかかったら2日間は1人にさせないように注意するということを厚生労働省でも呼びかけている。
インフルエンザ対策|厚生労働省
年齢による薬の使い分け
1歳までは薬は処方されない。1歳〜5歳までは上手に薬を飲み込むことが難しいのでタミフルが多く処方される。5歳〜9歳まではタミフルか吸い込むタイプのリレンザ。10代になるとタミフルの服用が制限されているので吸引タイプのリレンザかイナビルというのが基本的な処方のされ方になっている。
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