2015年2月18日(水曜日)放送のNHK・ためしてガッテン「肩こりも転倒も防ぐ!新常識伸ばさないストレッチ」では、肩こり解消や転倒予防に効果的なふりふりストレッチのやり方が紹介されていました。
この記事の目次
びっくり!ストレッチに落とし穴?
1975年、ストレッチの提唱者ボブ・アンダーソンが書いた「ストレッチング」という本が世界中でブーム。これ以降ストレッチは怪我の予防に効果があると思われていた。ストレッチに落とし穴があることがわかった。
従来のストレッチにはケガ予防の効果はない?
1998年、オーストラリア陸軍での検証実験というのがあった。その論文には「ストレッチに怪我の危険性を減らす効果はない」と書かれている。
オーストラリア陸軍に入隊したばかりの1538人を2つのグループに分け、片方のグループはストレッチをし、もう片方のグループはストレッチなしで3ヶ月間厳しい訓練を受けさせた。
怪我をした割合はストレッチありが21%、ストレッチ無しが22%。してもしなくてもけがをする割合は変わらなかった。
さらにその後世界各国で、ストレッチの怪我予防効果を否定する論文が次々に発表され、従来のストレッチには弱点があるということが浮かび上がってきた。
ストレッチでは柔軟性はアップするが筋肉はダウンする
従来のストレッチで柔軟性はアップするが、引き換えに大切なモノが損なわれていた。それは筋肉。
番組ではストレッチによる身体の変化を研究している酪農学園大学、食・健康スポーツ科学研究室の山口太一准教授が、酪農学園大学バスケットボール部に協力してもら、ストレッチで身体にどのような変化が起きるのかを実験。
足を伸ばすストレッチの後に前屈を行ってもらうと柔軟性がアップしたがわかった。
さらにストレッチした腰から下のジャンプ力がどれくらいあるかを調べるために上半身を固定してジャンプ力を測定。するとストレッチをしなかった時に比べてストレッチをした時は全員が大幅にジャンプ力がダウンしていた。
ストレッチングによって筋力及び瞬発力の低下が起きたと考えられる。柔軟性と引き換えに筋力を失っていた。
ストレッチ後は捻挫をしやすくなる?
番組ではジャズダンスが趣味で、普段からストレッチをしていて柔軟性がある佐藤さんを取材。佐藤さんは最近捻挫を繰り返しているという。
佐藤さんの足首を調べてみると、入念なストレッチの後に専門家に足首の検査をしてもらった。すると筋肉が緩んだことで足首の腱まで緩んでしまった。
ストレッチをすると筋肉も足首の腱も伸びる。すると筋肉がパンツのゴムが緩んだような状態になっている。
このあと運動をして捻挫をしないように足に力を入れなければいけない状況が起きても、筋肉にあまり力が入らないで捻挫が起きてしまう。
伸びた腱は2時間位で元に戻る。
アキレス腱を伸ばすことはアキレス腱自体を切らないためには良いことだが、捻挫はしやすくなる。
伸ばさない「ふりふりストレッチ」
ブラジルの動的ストレッチ「アロンガメント・ジナミコ」
ブラジルは言わずと知れた世界一のサッカー大国。そのブラジルでは以前から「アロンガメント・ジナミコ」という昔から行われている伝統的なストレッチを行っている。あのブラジル代表ネイマール選手も試合前に行っている。
アロンガメント・ジナミコを直訳すると動的ストレッチという意味。
従来のストレッチは時間をかけて負荷を与えながら筋肉自体を伸ばす。しかし動的ストレッチは可動範囲の8割程度で関節を繰り返し動かす。動かすことで必要なときに筋肉がちゃんと伸びる。
広島カープの前田健太投手が行っている通称マエケンダンスも独自に編み出した動的ストレッチ。このストレッチのお陰で体全体を使ったしなやかなピッチングフォームが生まれる。
この動的ストレッチを番組では「ふりふりストレッチ」と命名。
ふりふりストレッチの効果
20代~50代の人に集まってもらい足を上げては下ろすというふりふりストレッチを行ってもらった。すると柔軟性は平均で27%アップ。
さらに筋力を測定。垂直跳びのテストをしてもらったところ全員筋力が大幅にアップ。平均20%以上アップした。
なぜ柔軟性と筋肉がアップするのか?
筋肉には筋繊維が何千本も詰まっていて、それぞれに筋繊維を動かすための信号を出す神経がある。この神経はいわばエンジンの点火プラグのようなもの。
人間の体は安静時には点火のタイミングがバラバラになるようになっている。これは急に力を入れると筋肉が損傷する可能性があるから。
ふりふりストレッチはバラバラの点火のタイミングをそろえている。筋繊維の収縮のタイミングが揃うので筋力・瞬発力がアップする。
急に力を入れても筋肉が損傷しない理由は柔軟性も同時にアップしているため。
ふりふりストレッチは繰り返すことで筋肉が温まる。筋肉はお餅のような性質を持っていて、温まると柔らかくて柔軟になる。すると損傷しにくくなる。
往来のストレッチとふりふりストレッチのメリット
国立健康・栄養研究所健康促進研究部長の宮地元彦さんによると、場合によっては従来のストレッチが良い場合もあるとのこと。
手足の冷え解消、高血圧・動脈硬化改善などは従来のストレッチでもふりふりストレッチでもどちらでも効果がある。
従来のストレッチにも怪我の予防の効果があり、特に筋肉の怪我(肉離れ・筋断裂)などを予防する効果があり、副交感神経の働きを高めるので精神のリラックス効果が期待できる。
ふりふりストレッチは怪我の予防効果がより大きい。また筋力・瞬発力が上がる効果があるので、転びにくくなり捻挫・骨折の予防が期待できる。
従来のストレッチとは違い、交感神経の働きを高めるので体温・筋力がアップする。
ガッテン流!転倒予防のふりふりストレッチのやり方
- 1
- 壁・いすなどでしっかりと体を支える。
- 2
- 外側の足を太ももが平行になるくらいまで上に持ち上げて下ろす。
- 3
- 2回目は一回目より少し上に上げ、3回目は2回目より少し上に上げるというように、だんだん動かす範囲を広げていく。4回目くらいで一番上がるかなというくらいまで上げる。
- 4
- リズムに乗ってきたら脚を後ろまで引き振り子のように動かす。
- 5
- 左右で同じ動きを10回ずつ行う。
太股の付け根と、支えている方の脚の付け根が鍛えられる。
転倒予防のふりふりストレッチの効果
この転倒予防のふりふりストレッチを2週間行った斉藤さん(83歳)に、転倒をしやすい人を見つけるための検査「2ステップテスト」を行ってもらった。
2ステップテストとは大きく二歩歩くことで下半身の柔軟性をチェックできるというもの。。目安は仁保の歩幅が慎重の1.25倍。た追えば慎重160cmの人なら200cm(2m)。1.25倍未満は転倒の危険が高い。
斉藤さんは2週間前に比べて27センチアップ。「筋肉がついたのか安定感がついて踏ん張りがあるみたい。」と話していた。
肩こりを解消するふりふりストレッチのやり方
- 1
- 右手の指先を肩につけ、上から前に肩を回す。体を動かさず肩だけを回す。これを10回。反対も同じように行う。
- 2
- バンザイの状態から両手を頭の上で合わせて下ろす。手が前に出ないように肘が身体の真横にくるようにする。これを10回行う。
肩こり解消のふりふりストレッチの効果
番組では10年以上ひどい肩こりに悩まされている高木さん(36歳)に協力してもらい効果を検証。
ふりふりストレッチを行うと肩の筋肉の血流量はが10倍にも増えた。
さらにふりふりストレッチを自宅で毎日2週間続けてもらい筋肉の硬さの数値を測定。すると2週間前の71から39になり大幅に改善された。
高木さんは「肩が痛くて首が倒せないというのがなくなった。」と話していた。
腰痛を予防するふりふりストレッチのやり方
- 1
- 脚を肩幅に開き、膝を軽く曲げた状態から背中を丸くして頭を下げる。この状態でおしりを横に降る。1回10秒くらいやると良い。
NHKためしてガッテン1回たった30秒からの「ストレッチ」と「筋トレ」で体と心が若返る。DVD付き (主婦と生活生活シリーズ) NHK科学・環境番組部,主婦と生活社「NHKためしてガッテン」編集班 主婦と生活社 |
合わせて読みたい
世界一受けたい授業 腰痛&肩痛&膝痛に効くストレッチ&体が柔らかくなるストレッチのやり方
コメント